日本酒の世界には、一年に一度、全国の蔵が技を競い合う大きな舞台があります。「全国新酒鑑評会」です。
その令和7酒造年度の結果が、2026年5月に発表されました。うれしいことに、零下 -REIKA- がお取り扱いしている蔵から、9蔵が金賞、5蔵が入賞という結果になりました。
この記事では、金賞に輝いた9つの蔵を、それぞれの蔵がどんな場所で、どんな想いで酒を醸しているのか、その物語とともにご紹介します。今夜の一本を選ぶ手がかりにしていただけたらうれしいです。
全国新酒鑑評会とは
全国新酒鑑評会は、1911年(明治44年)に始まり、100年以上続く、日本を代表する清酒の鑑評会です。独立行政法人 酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催し、その酒造年度に造られた新酒(吟醸酒)の出来栄えを全国規模で審査します。
審査では、まず予審を通過した酒が「入賞酒」となり、そのなかでも決審で特に優れていると認められた酒に「金賞」が贈られます。令和7酒造年度は、2025年から2026年にかけて仕込まれた新酒が対象になりました。
ひとつ知っておいていただきたいのは、鑑評会に出される酒は、この大会のために特別に醸された「出品酒」であることが多い、という点です。蔵がもてる技術を注ぎ込んだ一本で、市販されないこともめずらしくありません。ですから「金賞酒そのものが買える」というより、「金賞を取れる技術をもった蔵のお酒が飲める」と考えていただくのが正確です。
零下では、その金賞を受賞した蔵のお酒を、マイナス5℃で管理してお届けしています。それでは、9蔵を順にご紹介します。
金賞に輝いた、零下取り扱いの9蔵
群馬泉(島岡酒造/群馬県太田市)
文久3年(1863年)創業、5代続く島岡酒造。利根川と渡良瀬川に挟まれた肥沃な土地で、ミネラル分をたっぷり含んだ硬水を仕込み水に使い、その個性を活かす昔ながらの山廃造り(やまはいづくり:乳酸を自然に取り込む伝統的な仕込み)を守り続けています。
代表銘柄「群馬泉 淡緑 山廃純米吟醸」は、穏やかな吟醸香にメロンを思わせる含み香。口に含むと丸みのある旨みがゆっくり広がり、ほどよい酸でキレていきます。冷やしても、燗にしてもおいしい一本です。
華やかさで売る酒ではなく、飲み続けるほどしみじみ旨い。燗酒の魅力を知りたい方、料理と一緒にじっくり飲みたい方におすすめです。
浅間山(浅間酒造/群馬県吾妻郡)
明治5年創業の浅間酒造。冬には氷点下10℃を下回る厳しい環境で、140年以上酒を醸してきました。蔵元兼杜氏の櫻井武氏は、山形の出羽桜酒造で修業を積み、2006年に「浅間山」ブランドを立ち上げた方です。掲げるのは「日本一野菜に合う日本酒」という、ちょっと意外な目標です。
「浅間山 大辛口 純米 ひとごこち」は、長野県産の酒米ひとごこちを使った一本。柑橘を思わせる香りで、米の旨みがふくらんだあと、大辛口らしくシャープに切れていきます。
天ぷらや野菜料理に合わせる食中酒をお探しの方に、ぜひ試していただきたい銘柄です。
五十嵐(五十嵐酒造/埼玉県飯能市)
1897年、東京の澤乃井(小澤酒造)から独立して始まった五十嵐酒造。奥秩父からの伏流水で酒を醸します。代表銘柄は明治天皇ゆかりの「天覧山」ですが、零下でお取り扱いしているのは、特約店限定の「五十嵐」。同じ蔵が、しぼりたての生原酒を手作業で直汲みした銘柄です。
「五十嵐 純米 大辛口 無濾過生原酒 直汲み」は、口に含むとシュワッと弾けるガス感が心地よく、濃醇な旨みのなかにも爽やかさがあります。後味はドライ。アルコール度数17.9%と、力強さも魅力です。
搾りたてのフレッシュな日本酒が好きな方に。
からはし(ほまれ酒造/福島県喜多方市)
「会津ほまれ」の銘柄で会津を代表するほまれ酒造。世界最大級のワインコンテストIWCで4年連続メダルを獲得し、2015年には頂点の「チャンピオン・サケ」にも輝いた、受賞の常連です。
「からはし 純米吟醸 山田錦」は、精米歩合60%ながら、より磨いた酒に迫る品質を追い求めた一本。マイナス5℃で熟成させています。りんごやトロピカルフルーツのような香りに、やわらかな甘み、整った酸。
ワイングラスに注いで、その華やかさをゆっくり楽しんでいただきたい銘柄です。
山の井(会津酒造/福島県南会津郡)
元禄年間(1688〜1704年)創業、約330年の歴史をもつ会津酒造。冬には氷点下20℃にもなる南会津で、ミネラルの少ないまろやかな超軟水を使って酒を醸します。9代目の渡部景大さんが2012年に立ち上げたのが「山の井」。その綺麗な酒質は、JAL国際線ファーストクラスのラウンジにも採用されました。
「山の井 純米60」は、マスカットのような繊細な香り。口当たりはやわらかく、ほのかな甘みとなめらかな旨みが続きます。苦みや辛みも控えめで、すべてが調和した一本です。
軟水ならではの綺麗な味わいを、日々の食卓で楽しみたい方に。
今錦(米澤酒造/長野県上伊那郡)
明治40年創業、南アルプスのふもとに蔵を構える米澤酒造。南アルプスの湧水で仕込み、和釜での蒸しや酒槽(さかぶね)での搾りなど、手をかけた酒造りを続けています。
「今錦 おたまじゃくし 特別純米 無濾過生原酒」は、長野県中川村の棚田で育った美山錦を100%使用。メロン調の香りと、力強い骨格をもつ旨み、そして後味を引き締める酸。アルコール度数18%の飲みごたえのある一本です。
棚田の風景や、つくり手の想いごと味わいたい方におすすめします。
作(清水清三郎商店/三重県鈴鹿市)
1869年創業、いまや鈴鹿で唯一となった酒蔵、清水清三郎商店。2016年のG7伊勢志摩サミットでは「作 智」が乾杯酒に選ばれました。現代の多彩な食卓に合う、軽やかな酒質を追求しています。
「作 雅乃智 中取り 純米大吟醸」は、搾りの過程でもっとも良い部分「中取り」だけを瓶詰めした一本。華やかな吟醸香に、なめらかで上品な甘み、雑味のないすっとした後味。IWC2025でも金賞を受賞しています。
特別な日の食卓に、ぜひ。
石鎚(石鎚酒造/愛媛県西条市)
大正9年創業の石鎚酒造。名水の街として知られる愛媛県西条市、西日本一高い石鎚山のふもとに湧く清らかな水で酒を醸します。家族4人による完全手造りで、それぞれが担当をきっちりこなすことで、安定した酒質を生み出しています。
「石鎚 純米吟醸 緑ラベル」は、穏やかな含み香に、やわらかく上品な口当たり。ほのかな渋みをともなった綺麗なキレが、料理を引き立てます。
派手さよりも、食事にそっと寄り添う食中酒を求める方にぴったりです。
東洋美人(澄川酒造場/山口県萩市)
蔵元杜氏の澄川宜史氏は、「十四代」で知られる高木酒造で修業を積んだ実力派。2013年の集中豪雨で蔵が壊滅的な被害を受けながらも、全国の支援を受けて奇跡の復活を果たしました。「稲をくぐり抜けた透明な水でありたい」という言葉が、この蔵の酒を物語っています。
「東洋美人 大辛口 純米吟醸」は、その名前に反して、軽やかな果実の香りとフレッシュでなめらかな口当たりが魅力。後味はシャープでドライ、透明感のあるキレです。
価格も手に取りやすく、東洋美人の世界への入り口としておすすめの一本です。
入賞に輝いた5蔵
金賞のほかに、零下のお取り扱い蔵からは5蔵が入賞しました。こちらも、ぜひ覚えておいてください。
- 陸奥八仙(八戸酒造/青森) ── 青森県産の米と酵母にこだわり、世界酒蔵ランキングで1位に輝いたこともある蔵。
- あたごのまつ(新澤醸造店/宮城) ── 「究極の食中酒」を掲げる伯楽星でも知られる、宮城を代表する蔵。
- 望/燦爛(外池酒造店/栃木) ── 無濾過・原酒・純米にこだわった「望」を醸す、栃木の蔵。
- 北光正宗(角口酒造店/長野) ── 雪深い長野県飯山市で、骨格のある純米酒を醸す小さな蔵。
- 文佳人(アリサワ/高知) ── 「搾るまでは手間をかけ、搾ってからは手を加えず」をモットーにする高知の実力派。
まとめ
全国新酒鑑評会は、その年の新酒の出来栄えを全国規模で競う、100年以上続く舞台です。令和7酒造年度は、零下のお取り扱い蔵から金賞9蔵・入賞5蔵という、うれしい結果になりました。
金賞は、蔵がもてる技術を注ぎ込んだ「出品酒」への評価です。その技術をもった蔵が、日々ていねいに醸している一本を、零下ではマイナス5℃で管理してお届けしています。入荷状況はタイミングによって変わりますので、気になる蔵があれば、お早めにのぞいてみてください。
