日本酒のお供にはお猪口や徳利が定番ですが、日本酒のタイプはもちろんのこと、合わせるお料理やシチュエーションによっても、選ばれる酒器は変わってきます。
酒器の材質やフォルム、色味などによって、日本酒の味、香り、色味、それら全てに影響を与え、ひいてはお食事全体の印象を大きく左右するのです。
そんな日本酒の右腕ともいうべき、引き立て役である酒器を20年以上にわたりつくり続け、多くの日本酒ファンを魅了し続けているのが、今回、インタビューさせていただいた、やきもの作家の山田晋一朗さん。
やきもの作家・山田晋一朗氏
山田さんの作品は、G20の会食で酒器として用いられたり、TOYOTA レクサスが扱うセレクトカタログにやきもの作家として初めて掲載されるなど、多方面での注目を集めています。
本記事では、山田さんの作家としてのこだわりや哲学を交えながら、あまたの酒飲みを魅了してきた作品の魅力をご紹介していきます。
山田さんの作品が気になる、という方は、当サイトからもご購入いただけますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
下積み10年。売れ続ける器をつくる秘訣は、飲み手目線にあった
今でこそ、国内外を問わず様々なブランドやアーティストとのコラボの依頼が後を絶たない山田さんの作品。
しかし、やきもの作家になってから10年以上も売れない時期があったといいます。
「自分の技を磨いて、個展を開いても売れなくて、在庫が増え続けていました」
そんな当時、つくり手としての価値観が大きく変わったことを機に、徐々に作品が売れるようになっていくことに。
それが、「専門家に評価される作品づくり」から、「飲み手がとにかく喜ぶ作品づくり」へのシフトチェンジでした。
「歌がいくら上手くても、売れない歌手はたくさんいます。
一方で、売れている歌手には、売れている理由がある。
だから、音楽や映画をはじめ、世の中で売れているものの理由を徹底的に分析することを始めました。」
そして、自己表現と、器を使うお客様が喜ぶものを擦り合わせるために、何度も試行錯誤して、今の山田さんの美しい器の原点ができあがっていくことに。
唯一無二の白い曲線美が、食のプロをもうならせる
山田さんの作品の特徴といえば、白さと曲線の絶妙なバランスが生み出す美しいフォルム。
日本酒の唎き酒をするシーンでは、わざわざ山田さんの酒器を持ち込んで、唎き酒をするというプロのバイヤーや飲食店オーナーも多くいるそうです。
今回は、数多くある人気作品の中から、4点に絞って山田さんの作品をご紹介させていただきます。
ロクロ平盃
東海地方を中心に日本酒好きの方々が愛用する山田さんの代表作の一つ。
口に触れた時の触感がとてもよく、どんどん日本酒が飲みたくさせる平盃です。
ワイングラス
日本酒を飲むのにもぴったりなワイングラスで、日本酒ファンも絶賛。
使えば使うほど、好きになること間違いなしの一品。
注ぐ形(片口)
高級料亭、日本酒専門店、ラグジュアリーホテルなどで使われている片口。
注ぎ口の曲線がなんとも言い難いほどに美しく食卓を彩ります。
大海の一滴 ~2合半片口~
一合片口よりも大きな片口が欲しい、というニーズに応えて作られた約2合半まで入れられる片口です。海をデフォルメした造形で、花器として使われている方もいるのだとか。
当店バイヤーの日本酒王子も惚れ込む山田さんの作品
ものづくりについてあくなき探求を続ける山田さんですが、大の日本酒好きでもあり、お酒を席を通してたくさんの方との縁を育んできたとのこと。
そこで、「零下」(当オンラインショップ)のバイヤーでもあり、山田作品の大ファンでもある日本酒王子・近藤が、山田さんとの日本酒対談を実施させてもらうことに。
近藤「今日の席が愛知県ということで、丸石醸造の日本酒で乾杯させてください!ちなみに、片口は自前です」
山田「使っていただいてありがとうございます。丸石醸造さんとはコラボもやってますし、二兎はコンセプトやブランドづくりも大好きなので嬉しいです」
近藤「二兎はいいですよね。普段はどんな日本酒をよく飲まれるんですか?」
山田「買うのは、知り合いのつくるお酒が多くて、東海地方の日本酒ですね。どちらかといえば甘口が好きです、甘くて、酸味があるもの。ガスがあるタイプも好きですよ」
近藤「じゃあ、二兎はズバリですね! お燗酒はどうですか?」
山田「もちろん好きです。以前、イベントで出していただいたお燗酒の香りが高くて、甘味も絶妙で、とても美味しかったです」
近藤「それこそ、今日は冷酒ですが、山田さんのこの平盃はお燗酒にもぴったりですよね。お燗酒だと旨みが増すのはもちろんのこと、特にキレがよくなります。モワッと感がなくなるというか」
近藤「つくりながら、この器ではこういうお酒を飲んで欲しいといったことは考えたりするんですか?」
山田「ありますね。例えば、包み込む形は香りがいいものを飲んで欲しいとか、お酒をより引き立てることを常に考えてつくってます」
近藤「やっぱりそうなんですね。『零下』も、暮らしを彩ることをテーマに日本酒を販売しているので、お気持ちがすごくよくわかります。やっぱり山田さんの器で飲むお酒は美味しい。そういった付加価値のある楽しみを僕たちもお客様に届けたいです」
近藤が特に山田さんの器で飲みたいお酒は、
「津島屋外伝 契約栽培米山田錦 純米 瓶囲い」。
「このお酒は、全国燗酒コンテストで金賞を取ったお酒でもあるんですが、とにかく山田さんの平盃で55℃くらいにしていただくと抜群に美味しいんです。
と言うのも、穏やかなナッツのような香りとボリュームのある旨味が温めることで膨らんだのを、ダイレクトに味わうことができる!
他の平盃でもそれなりに美味しいんですが、滑らかでつるつるとした口当たりと曲線が生み出す流れがとてもスムーズで、山田さんの平盃でこそ最大限真価を発揮できる、そんなお酒だと思います。」
楽しい人と仕事をすることで、いいものが生まれる
「とにかく楽しい人と仕事をしています。だから今は、一緒にお酒を飲み交わす延長に仕事があるともいえますね」
山田さんに仕事の哲学をお伺いすると、人とのご縁を大事にする作家らしいお答えがかえってきました。
そんな山田さんの次なる目標は、業界全体を盛り上げていくこと。
「やきものの業界はもちろんですが、たくさんお世話になったお酒の業界を自分なりの観点や立ち位置から盛り上げることができたら、それが一番嬉しいです」
大きな目標を淡々と語る一方で、最近のヒット作のビールグラスの出来栄えを嬉しそうに語る山田さん。
職人としても、セールスマンとしても、さらなる活躍が注目される作家です。
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今回、ご紹介した山田晋一朗さんの平盃、およびワイングラスは、当店「零下」でも絶賛販売中です。
新しい酒器を探していた、という方はもちろん、山田さんの美しい作品で、日本酒を楽しく飲みたい、という方はぜひ詳細をチェックしてみてください。