本記事では、料理酒の代用品としておすすめのお酒をご紹介していきます。
あわせて料理酒の役割や代用料理酒を使う際の注意点、おすすめのレシピについてもご紹介。
さらに、料理酒も代用品もない場合の対応策についても記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
料理酒の5つの役割
料理酒を使うことは多くありますが、実際何のために入れているのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
料理酒の主な役割は以下の5点。
- 魚や肉の臭みを取り除く
- 食材をやわらかくする
- アミノ酸成分がうまみやコクをプラスする
- 調理時間を短縮できる
- 菌の増殖を抑える
では一つずつ見ていきましょう。
魚や肉の臭みを取り除く
料理酒を加えることで、魚や肉などの食材の臭みを取り除くことができます
この消臭効果には、アルコールの沸点が水より低く、約78℃であることが関係しています。
アルコールの揮発と同時に一部の臭い成分も蒸発(揮発)していくため、料理酒が食材の臭みを取り除いてくれくれるのです。
食材をやわらかくする
アルコールには魚や肉などの水分量を保つ働きがあるため、料理酒は食材をやわらかくする効果があります。
料理酒を入れることで加熱をおこなっても水分が逃げにくく、やわらかい仕上がりとなります。
アミノ酸成分がうまみやコクをプラスする
料理酒を加えることで、料理にうまみやコクをプラスすることができます。これは料理酒に含まれているアミノ酸成分によるものです。
そのため様々な料理に必要な材料として記載されています。
調理時間を短縮できる
調理酒を使うことで、食材に味が染み込みやすくなり、短時間での調理が可能となります。
料理酒に含まれるアルコールは分子量が小さいため食材に素早く染み込みます、結果的に調理時間を短縮することに繋がります。
菌の増殖を抑える
アルコールの殺菌作用によって菌の繁殖や増殖を抑えることができます。
料理は放置しておくと腐ってしまいますが、これは菌の増殖が原因。
菌の増殖を料理酒によって抑えることができれば保存がきくようになり、作り置きにも便利です。
料理酒の代用ができるお酒
料理酒を切らしてしまった場合は別のお酒や調味料で代用することが可能です。料理酒の代わりとして使えるお酒をいくつかご紹介します。
日本酒
日本酒は普段から料理酒として使っている人も多く、料理の仕上がりを非常に良くしてくれます。
日本酒は料理酒に比べて風味や香りが豊かで、料理酒のように食材の臭みを消す働きもあります。
味もまろやかになり、ほのかな甘みを感じられます。
本みりん
本みりんはアルコールが14%程度含まれているため、食材の臭み消しなど料理酒と同様の効果が期待できます。
また、本みりんを使うことで料理に照りツヤ、コクを出すこともできます。ただし、本みりんには甘さがあるため、砂糖の量に注意して甘さを調節する必要があります。
みりん風調味料というものもありますが、こちらは、水あめや他の調味料を混ぜ合わせて作られた甘味料であり、アルコールはほとんど含まれていないため、料理酒として代用することはできません。
ワイン
ワインも料理酒の代用品として使うことができますが、基本的には洋食に使われます。
魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインを代用すると良いでしょう。
白ワインは酸味が強く、辛口のタイプがおすすめ。
赤ワインは色味が強いため、トマトソースを使った料理など色の濃い料理に使うと良いでしょう。またぶどうの皮の渋みもあるため、濃い味の料理に向いています。
白ワイン、赤ワインともに、料理の味わいを変えないためにも香りや酸味が強いものは避け、クセのないものを選ぶと料理本来の風味を損なうことなく美味しく仕上がります。
ビール
ビールには酵母が含まれており、肉料理に使うと肉のうまみを引きだし、やわらかく仕上げてくれます。
角煮のレシピに記載されていることも多くあります。
ビールには甘さがないため、他の調味料で調節する必要があります。
梅酒
梅酒には多くの甘味が含まれているため、他の調味料によって甘さを調節する必要がありますが、調理酒として使われています。
青魚の煮付けや肉を使った肉料理など、甘さが必要で味の濃い料理に向いています。
日本酒やみりんなどより糖分が多いため、入れ過ぎには注意が必要です。
蒸留酒は使い分けが重要
焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は調理酒の代用には向きません。
蒸留酒はアルコール度数が高く、また味や香りも強いため、料理に使ってしまうと、素材の味わいを消してしまう可能性が高いです。
ただし、肉のソテーにブランデーを使ったり、角煮に焼酎を使ったりすることもありますし、蒸留酒はフランベに適しており、調理方法によっては使用する場合もあります。
アルコール度数が高いため使用量には注意が必要です。
料理酒の代用には日本酒がおすすめ
料理酒の代用品をご紹介しましたが、日本酒が最もおすすめです。
その理由は、食材の臭み消しなど料理酒と同様の役割を果たし、さらにうまみやコクを引き立たせるため、料理が一段と美味しくなります。
料理酒と日本酒の違い
料理酒と日本酒の主な違いは「飲めるか・飲めないか」。
料理酒は基本的に調味料なので、そのままでは美味しく飲めませんが、日本酒はそのまま飲むことができます。
また、料理酒には塩分が添加されており、中には甘味料や酸味料が添加したものもありますが、日本酒にはそのような添加物が入っていないことが多いです。
料理酒の代用に向いている日本酒の種類
日本酒の代用に向いているのはお米のうまみを感じられる純米酒であり、精米歩合の低い吟醸酒や大吟醸酒は向いていません。
精米歩合とは精米して残った米の割合を指します。
精米歩合の低い吟醸酒や大吟醸酒は丁寧に磨かれ雑味が少ないためお酒として飲む場合にはシャープな味わいを楽しめますが、料理に使うとうまみがあまり感じられない場合があります。
日本酒を代用する際の注意点
料理酒の代用品として日本酒を使う際の注意点を2つご紹介します。
塩分と甘みを調節する
日本酒には塩分が入っていないため、いつも通りの塩分量で日本酒を代用すると普段より薄味に感じるかもしれません。
また料理酒には水あめなどの甘味料が添加されているものもあり、上記と同様、料理に甘さが足りないと感じるかもしれません。
塩分や甘みなどは他の調味料で調節する必要があるという点が注意点の1つです。
しっかりとアルコールを飛ばす
日本酒はアルコール度数が15度前後と高く、アルコールが残っていると料理の味や香りに影響が出てしまう場合があります。
沸騰させてアルコール分をしっかりと飛ばすことで、アルコール臭も気にならなくなり、料理本来の味にも影響しなくなります。
料理酒に代用できるおすすめ日本酒
料理酒の代用には精米歩合が80%前後の低精白酒が向いており、特に濃厚な味わいが特徴的でクラシックフル(お米本来の味わい)な日本酒がおすすめです。
おすすめの銘柄を4種類ご紹介します。
七田 七割五分磨き 純米 山田錦 火入れ
精米歩合が75%と米の個性を十分に活かした純米酒です。
山田錦を使用しており、安定感かつボリュームのある旨みと力強さだけでなくふくよかな洗練された味わいも特徴的です。
- 佐賀県
- 精米歩合:75%
七本鎗 純米 玉栄80%
地元契約農家による酒米「玉栄」(たまさかえ)を使用した精米歩合80%の低精白純米酒です。
玉栄は滋賀県産の契約栽培米です。
米の持つ旨みを最大限に活かした日本酒で、分厚い旨みがどっしりと構えています。
- 滋賀県
- 精米歩合:80%
竹雀 生酛純米 岐阜県産山田
酵母無添加による生もと(きもと)造りで醸した大塚酒造「竹雀」ブランドの純米酒です。
岐阜県産の山田錦が使用されており、適度な枯れ具合と凝縮感のあるカカオ系の旨みを感じられます。
「お料理と支え合う柱のような酒」を目指して造られた商品であることからも、代用におすすめできる1本です。
- 岐阜県
- 精米歩合:70%
大治郎 山廃純米
伝統的な製法「山廃造り」で造られ、日本酒本来の味わいを表現した商品です。
太めの骨格と厚みのある凝縮された濃厚な旨味が特徴的です。
酒米には滋賀県産の契約栽培米「吟吹雪」が使用されています。
- 岐阜県
- 精米歩合:60%
代用料理酒を使ったおすすめのレシピ
料理酒の代用として主に日本酒を使って作るおすすめの料理とレシピをご紹介します。
日本酒を使った「あさりの酒蒸し」
あさりは海水を含んでおり、塩分が添加された料理酒を使うと塩分調整が難しい場合があるため、日本酒を使うことで塩分調節がしやすく、丁度良い塩加減にすることができます。
日本酒によってあさりのうまみが引き出された最高の一品です。
【材料(2人分)】
- アサリ:3掴み
- 日本酒:半カップ
- 塩: 2つまみ
【作り方】
- 3%程度の濃度の塩水を作り、その中にアサリを入れて塩抜きします。塩水はあさりがひたひたになるくらいの量がベストです。
- すべての材料をフライパンに入れ、弱火で5分以上蒸し焼きにします。
- アサリの殻が開いたら完成です。
日本酒を使った「鶏の唐揚げ」
日本酒によって鶏肉がやわらかくなりジューシーな仕上がりになります。
大人から子どもまで楽しめる一品です。
【材料(4人分)】
- 鶏肉:600g
- 油:適量
- 片栗粉:適量
- (A)日本酒:大さじ3
- (A)醤油:大さじ3
- (A)すりおろしニンニク:適量
- (A)すりおろし生姜:適量
- (A)おろし玉ねぎ:小さじ1
- (A)砂糖:小さじ1/4
- (A) みりん:小さじ1/4
【作り方】
- 鶏肉を食べやすい大きさに切ります。
- ボウルに鶏肉と(A)を入れて揉み込み、15分以上漬け込みます。
- 鶏肉に片栗粉をまぶします。
- 鶏肉を160~170℃で茶色く焼き色が付くまで揚げます。
- 一旦バットの上に取り出して4分程度休ませます。
- 油の温度を190~200℃に上げ、再び30秒程揚げたら完成です。
代用品もない場合の対処法
料理酒も代用品もない場合、他の調味料で対応することが可能です。
例えば、魚や肉の臭みを消したい場合は、生姜やニンニク、レモン汁などで代用することができます。
特に魚の臭み消しには、皮にしっかりと焼き目をつけたり、下ごしらえの際に塩を振って数分置いて対処する方法があります。
最終的にどのような味に仕上げたいのかを考えて香味野菜などを選び、対応すると良いでしょう。
まとめ
料理酒には食材の臭み消しや食材をやわらかくする、味を染み込みやすくする、うまみやコクをプラスするなどの役割があります。
様々な代用品がありますが、日本酒は料理酒の持つ役割を果たしながらも、さらにうまみを引き立たせ、豊かな風味も加わって一段と美味しい料理になるためおすすめです。
普段使っている料理酒を日本酒で代用するだけで新しい味わいに出会えるかもしれません。