国際貿易の窓口として栄えた日本の長崎県。長崎といえば、世界遺産にも認定された軍艦島(端島)が有名ですが、同じく長崎県の離島である、壱岐島はパワースポットとして、多くの観光客を魅了しています。
そんな人口2.5万人ほどの離島に、日本最先端の技術を誇る酒蔵があることをご存知でしょうか。日本酒好きなら一度は聞いたことや、飲んだことがあるであろう大人気の銘柄「よこやま」「横山五十」を造る重家(おもや)酒造です。
日本酒造りの歴史はまだ浅いものの、これから間違いなく日本のみならず、世界中の日本酒ファンを魅了していくに違いない重家酒造の酒造りをご紹介します。
重家(おもや)酒造:壱岐島で日本酒「よこやま」「横山五十」を造る酒蔵
壱岐島は、古代から続く神々の島として知られ、数多くのパワースポットが点在する神秘的な場所として知られています。
重家酒造は1990年、杜氏の高齢化のために日本酒づくりを廃止したものの、28年後の2018年に酒造りを復活させたのが、現在の杜氏である横山 太三氏です。
2024年には、立ち上げからわずか6年ほどで、松尾大社第7回酒-1グランプリにて、 「純米大吟醸よこやま Princess Michiko」が九州の酒蔵としては初となるグランプリを受賞。また日本最高峰のコンペティションである SAKE COMPETITION 2024にて、「純米大吟醸よこやま GOLD」がSILVERを受賞する(約10%の関門)という快挙も達成している、今大注目の酒蔵です。
チーム十四代・東洋美人の蔵で修行した実力派の杜氏・横山氏
日本最大級の日本酒イベント・CRAFT SAKE WEEKでは、チーム十四代としてカテゴライズされ、大人気を博す「よこやま」「横山五十」。
そもそも杜氏の横山氏は、世界的に人気の銘柄「東洋美人」澄川酒造場の杜氏・澄川氏のもとで5年間、修行を積んだ実力派です。その澄川氏は、「十四代」蔵元・高木酒造で酒造りを学んだということから、十四代の孫弟子にもあたります。
「横山五十」も、澄川酒造場での修行時代に生まれた日本酒。東洋美人や十四代が好きな方であれば、きっとこのモダンでフルーティーな味わいに魅了されることでしょう。
「よこやま」「横山五十」を生み出す3つの秘訣
重家酒造を語る上で欠かせないのが、最高の日本酒を造るために徹底的したこだわりです。
その中から、3つの要素をご紹介します。
- とにかく水にこだわれ
- 米は嘘をつかない
- 設備投資を惜しむな
水:20回目の地質調査でついに見つけた理想の水
壱岐島で酒造りに適した水を見つけることが最大の難関だったという横山氏。
現在の酒造りに使っている水は、なんと20回の地質調査を繰り返して、ようやく酒造りに理想的な水質の地下水と出会うことができたそうです。
横山氏の水へのこだわりは並々ならぬものがあり、酒造りのために、紫外線殺菌装置の導入や、炭濾過を行うだけでなく、使用後の処理水についても2000万円をかけて浄水施設を設置。
「せっかくきれいな水を使わせてもらっているのに、汚いものを外に出すわけにはいかない」
横山氏はそんな想いで、透明な水を自然に還しているのです。
米:米は嘘をつかない。厳選された原料米
重家酒造では厳選された原料米のみを酒造りに使用。当初は兵庫県産の山田錦から始まり、現在では7県の山田錦、愛山、雄町を使用しています。米選びのモットーは、「米は嘘をつかない」。
また、壱岐島での栽培へも力を入れている横山氏。山田錦は背が高く、壱岐の強い風で倒れやすいという課題があるために、山田錦を親に持ちながら背丈が低く、収量も多く、味も良好という、環境に適した「吟のさと」の栽培を増やしており、今後はさらに酒造りに活かしていく予定です。
最新設備:数値化と再現性の追求
再現性を高めるために、設備投資も惜しむことがなく、重家酒造では最新鋭の全自動洗米機や、「外硬内軟」の理想的な蒸米を造るためのスーパーヒーターを導入。また、麹にはハクヨーの製麹機を使用、経過簿はキーエンスのコントロールパネルで管理するなど、どれをとっても国内でも有数の最新設備を揃えています。
さらに毎年一番美味しかったロットをベースに翌年の酒質をアップデートし、綿密なデータ管理のもと、日本酒度や酸度、麹の重さに至るまで、すべての工程を数値化しています。
最後に
人口わずか2.5万人の離島で、これほどまでに最先端の技術と設備を駆使した酒造りが行われていることに驚いた方も多いのではないでしょうか。焼酎蔵としての長い歴史を持ちながら、日本酒造りを短期間で、劇的に進化させ続けている重家酒造。
澄川酒造場での修行経験と、科学的なアプローチ、そして美味しい酒を造りたいという情熱が、「よこやま」「横山五十」という素晴らしいブランドを生み出しました。
「長い歴史と数多くの神社に守られた壱岐から、世界で愛される日本酒を造り続ける」
そんな熱い想いの込められた日本酒をぜひ一度ご堪能ください!