ひやおろし（冷卸）は秋の風物詩として多くの日本酒ファンを楽しませているお酒です。
通年で販売されている日本酒とはどんなところが違うのか。また、ひやおろしをさらに楽しむための秘訣はあるのか。
そんなことを知りたい方向けに、ひやおろしのお役立ち知識、そしておすすめの商品をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ひやおろし （冷卸）の基礎知識
ひやおろしの意味・語源
ひやおろしは秋ごろ（主に8月下旬から11月）に出荷される日本酒を指します。
江戸時代に生まれた「ひやおろし」の語源は、日本酒を貯蔵するときに1回のみ火入れをおこない、秋までタンクで貯蔵し、秋になってから「冷や」（常温の意）で、「卸す」ため「ひやおろし」と呼ばれています。
そのため「ひや」に「冷たい」という意味はありません。
また、9月に出荷されるものと11月に出荷されるものでは熟成期間が異なるため味わいも大きく異なります。
ひやおろしの特徴
ひやおろしは1回火入れした日本酒を指すのですが、火入れをする理由は貯蔵期間に酒質が悪くならないようにするためです。
日本酒には、生酒（火入れなし）、2回火入れした商品もありますが、これらは一般的にひやおろしに該当しません。
「ひやおろし」と「秋あがり」の違い
秋口には「ひやおろし」の他にも「秋あがり」という言葉を目にすることがあると思います。
この2つはどちらも、お酒を秋まで貯蔵してから出荷したお酒を指しますが、これらの違いは貯蔵前に1度だけ火入れをおこなう「生詰」がされているかどうかです。
ひやおろしは生詰の日本酒のみを指しますが、秋あがりは必ずしも生詰であるとは限りません。 つまり、ひやおろしは秋あがりの一種というわけです。
3種類のひやおろし。それぞれの飲み方を解説
夏越し酒（なごしざけ）
夏越し酒は、夏を越して涼しくなり始めの9月頃に出回るひやおろしです。
濃厚でありながらもまろやかさと軽さが感じられ、様々な食事と相性がよいお酒で、常温（15~30℃）や冷酒（15℃以下）で飲むのがおすすめ。
また、みぞれ酒にも適しています。みぞれ酒とは、日本酒を凍らせてシャーベット状にして楽しむお酒です。
作り方は、
- 日本酒を冷蔵庫でキンキンに冷やす
- 冷凍庫に移す
- 1時間半程度、凍らせて完成
飲むときに使うグラスも冷凍庫に一緒に入れておくのもおすすめ。 夏の暑さが残る時期にぜひ試してほしい飲み方です。
秋出し一番酒
秋出し一番酒は、秋の半ば10月頃に出回るひやおろしです。
9月からさらに熟成されるため、味の深みが増します。 味と香りのバランスがよく、なめらかな口当たりが特長。 冷酒でも熱燗でも美味しくいただくことができ、 冷やせばすっきり、温めればお米の香りが引き立ち、甘みと旨味も増して美味しく飲むことができます。
晩秋旨酒（ばんしゅううまざけ）
晩秋旨酒は、秋の終わり・11月ごろ出回るひやおろしです。
熟成期間が長くひやおろしの中でも最も円熟な味わいで、その濃厚さが特長です。飲み方は、燗酒、特に40℃程度のぬる燗がおすすめです。
ぬる燗でいただくとお米の旨味と甘みが引き立ち、味がまとまってまろやかになります。
ひやおろしの日本酒おすすめ6選
最後に、ひやおろしのおすすめ商品をご紹介します。
伯楽星（はくらくせい） 純米吟醸 冷卸
適度な熟成による丸みのある口当たりと弾力のある上品なボリュームの旨みの、食欲の止まらないお酒です。 気付いたらいつもより飲んで食べていたというような、シャープな印象の伯楽星に柔らかさが加わりました。
- 蔵元： 新澤醸造店（宮城県）
- アルコール度数：16%
- 使用米：蔵の華
- 精米歩合：55%
- おすすめの温度帯：10℃前後
津島屋 純米吟醸 美山錦 ひやおろし
上品なパイナップルのような香りと若干のとろみが口の中に広がります。 丸みを帯びた感覚が心地よく、バランス感に優れた純米吟醸酒です。
爽やかな香りとすっきりとした甘みが特長的で、軽やかに飲むことがで、お燗酒よりも冷酒向きの日本酒なので、しっかりと冷やしたワイングラスで飲んでほしい一本。
- 蔵元： 御代桜醸造（岐阜県）
- アルコール度数：16.7%
- 使用米：美山錦（長野県産）
- 精米歩合：55%
- おすすめの温度帯：10℃前後
三井の寿 秋純吟 Porcini(ポルチーニ)
イタリアの香り高いキノコ・「ポルチーニ」のように、しっかりと旨味も感じさせつつ上品な香りが楽しめる秋の限定酒。
酒粕を40%以上も出す大吟醸並みの搾りにより、香り高く軽やかな味わいに仕上がっています。
- 蔵元： みいの寿（福岡県）
- アルコール度数：15%
- 使用米：吟のさと（福岡県産）
- 精米歩合：60%
- おすすめの温度帯：10℃前後
雨後の月 純米大吟醸 八反 ひやおろし
白ぶどうのような上品で華やかな吟醸香と優しい甘み。お米は広島県で現在多く栽培されている八反錦のもとになった土着品種である「八反」を使用しています。
ここまで香りと味わいのバランスの取れた透明感のあるひやおろしは他にはないと思わせる一本で、純米大吟醸らしい軽やかな甘みと香り、熟成による円やかさが同居する雨後の月の真骨頂。
- 蔵元： 相原酒造（広島県）
- アルコール度数：16%
- 使用米：八反（広島県産）
- 精米歩合：50%
- おすすめの温度帯：10℃前後
作（ざく） 純米吟醸 ひやおろし
ひと夏熟成させた大人気「作」の秋限定酒で、作らしい爽やかな吟醸香が楽しめます。また、兵庫県の山田錦を使用した超少量入荷の希少な商品。
涼やかな落ち着いた後味が特長的で、みずみずしさと柔らかな旨味が深みを感じさせます。
パイナップル系のモダンスタイルの王道を行くような立ち香と落ち着いた旨味が調和していて絶対に飲んでいただきたい一本。
- 蔵元： 清水清三郎商店（三重県）
- アルコール度数：16%
- 使用米：山田錦（兵庫県産）
- 精米歩合：55%
- おすすめの温度帯：10℃前後
寒紅梅（かんこうばい） 純米吟醸 AKI ふくろう
ガス感のある爽やかなアタックとブドウのようなジューシーな旨味、後味を引き締める酸味のバランスに優れたタイプです。
残暑の厳しい昨今の秋にはぴったりのお酒として、揚げ物から洋のテイストのお料理には抜群に合います。
また季節ごとに変わるラベルのふくろうもとても可愛く人気の秘訣。
- 蔵元： 寒紅梅酒造（三重県）
- アルコール度数：15%
- 使用米：国産米
- 精米歩合：60%
- おすすめの温度帯：5-10℃前後
最後に
「ひやおろし」は、日本酒ファンにとって約3ヶ月程度しか楽しむことができない秋の風物詩。
今年の秋は様々なひやおろしの飲み比べをしてみてはいかがでしょうか。
日本酒選びに迷った際はぜひ今回のおすすめ商品を参考にしていただけると幸いです。
